痔は多くの人が経験する身近な症状であり、軽度であれば市販薬によるセルフケアで改善が見込めます。しかし、薬の種類や成分が多く、どれを選べばよいか迷う方も少なくありません。
この記事では、痔のタイプ別に市販薬の特徴や選び方をわかりやすく整理し、症状に合わせた適切な対処法を紹介します。初めて痔をケアする方にも安心して使える情報をまとめました。
市販薬で対応可能な痔の種類と症状

いぼ痔(痔核)の特徴と市販薬が効果を発揮しやすいケース
いぼ痔(痔核)は、肛門の血管がうっ血し、血の流れが悪くなることで静脈が膨らむ状態です。排便時のいきみや長時間の座位、冷え、便秘などが主な原因で、成人の多くが一度は経験するほど一般的な疾患です。市販薬での対応が可能なのは、症状が軽度で、痛みや出血が少ない場合です。
いぼ痔の市販薬には、炎症を抑える成分や血行を改善する成分が配合されています。代表的なものには「ステロイド系抗炎症成分(プレドニゾロンなど)」があり、炎症や腫れを速やかに和らげます。また、「トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)」は血流を改善し、痔核のうっ血を軽減します。かゆみを伴う場合には、局所麻酔成分や抗ヒスタミン成分が配合された薬が有効です。
使用の際は、清潔な状態で薬を塗布・挿入することが重要です。排便後や入浴後に使用することで効果が高まります。また、症状が数日たっても改善しない場合や、出血量が増える場合は、痔以外の疾患(大腸ポリープや直腸がんなど)の可能性もあるため、早めに肛門科を受診することが推奨されます。
まとめ:いぼ痔は軽度であれば市販薬で十分に改善が見込めます。炎症を抑える成分と血行改善成分の配合薬を選び、清潔な環境で正しく使用することが大切です。
きれ痔(裂肛)・外痔核の特徴と市販薬を選ぶ際のポイント
きれ痔(裂肛)は、硬い便の排出や強いいきみにより、肛門の皮膚が裂けてしまう状態です。排便時に強い痛みや少量の出血が起こるのが特徴で、慢性化すると肛門が硬くなり、便秘を悪化させる悪循環に陥ります。市販薬でのケアは、軽度の裂肛で出血が少なく、痛みが強くないケースに限られます。
裂肛に適した市販薬には、傷の修復を促す「アラントイン」や「ビタミンE」、炎症を抑える「グリチルリチン酸二カリウム」などが含まれています。痛みをやわらげたい場合には「リドカイン」などの局所麻酔成分が有効です。また、便を柔らかくする内服薬(酸化マグネシウムなど)を併用すると、排便時の刺激を減らし、治癒を早める効果があります。
一方、外痔核は肛門の外側に血の塊(血栓)ができる状態で、急な腫れや強い痛みが特徴です。発症初期は冷却が効果的で、腫れが治まってきた段階で血行改善薬を使用するのが一般的です。
まとめ:きれ痔や外痔核は、炎症を抑えつつ患部の修復を助ける成分を含む薬が適しています。痛みが強い場合は麻酔成分入り、排便を助ける内服薬との併用も有効です。症状が改善しない場合は早めの受診が安心です。
市販薬の選び方とおすすめ成分・剤形

薬の剤形(軟膏・注入軟膏・坐剤・内服薬)と使い分け方
痔の市販薬には、症状や使う部位に応じてさまざまな剤形があります。代表的なものは「軟膏」「注入軟膏」「坐剤」「内服薬」です。それぞれの特徴を理解し、症状に合ったものを選ぶことで治療効果を高められます。
まず、軟膏タイプは肛門の外側にできるいぼ痔やきれ痔などに使いやすい形です。指やチューブの先端で患部に直接塗布でき、痛みやかゆみを緩和します。刺激が少なく、初期の症状にも向いています。
次に、注入軟膏タイプは、肛門の奥のいぼ痔(内痔核)に適しています。専用ノズルを用いて薬を肛門内に挿入し、炎症を内側から抑えます。出血や違和感を感じる場合に効果的です。
坐剤タイプは、体温で溶ける薬を肛門内に挿入して使用します。薬が広範囲に行き渡るため、内痔核の炎症や出血に向いています。痛みが強い場合や塗布が難しい場合にも使いやすい形です。
最後に、内服薬タイプは、血行を改善する成分(トロキシルチン、ビタミンEなど)や、便通を整える成分が含まれています。外用薬と併用することで、再発予防や治癒促進に役立ちます。
まとめ:外側の痔には軟膏、内側の痔には注入軟膏や坐剤、体の内側からのケアには内服薬が効果的です。症状の位置や程度に合わせて複数を併用することも有効です。
成分別の特徴(ステロイド配合、血行改善、かゆみ止め等)と使用上の注意
痔の市販薬には、配合されている成分によって作用が異なります。代表的な成分の種類と特徴を理解しておくことで、症状に最適な薬を選ぶことができます。
まず、ステロイド配合成分(プレドニゾロンなど)は、炎症や腫れ、かゆみを速やかに抑える強力な効果があります。痛みや出血を伴ういぼ痔に有効ですが、長期間の使用は皮膚の薄化や感染リスクを高めるため、1〜2週間程度を目安にしましょう。
血行改善成分(トコフェロール酢酸エステル、ヘパリン類似物質など)は、うっ血を和らげ、痔核の腫れを軽減します。外痔核や再発予防にも効果的です。
かゆみ止め・鎮痛成分には、リドカインやジフェンヒドラミンなどがあり、患部の痛み・かゆみをすぐにやわらげます。排便後の刺激を軽減する目的で使われることが多いです。
修復促進成分(アラントイン、グリチルリチン酸二カリウムなど)は、裂肛などの傷を治す作用があり、炎症を鎮めつつ皮膚の回復を助けます。
使用上の注意として、同一成分の薬を複数使うと副作用が出る恐れがあるため、併用は避けましょう。また、強い痛みや発熱、出血量の増加などが見られた場合は、市販薬での対応範囲を超えている可能性があるため、肛門科での診察が必要です。
まとめ:ステロイドで炎症を抑え、血行改善や修復成分で治癒を促すのが基本です。症状の種類に合わせて成分を選び、使用期間や併用には十分注意しましょう。
